インストラクターの想い

2017/01/27

 

海に出て行く目的は、人により違います。

大体の人は大海原で自由を感じたい、マリンスポーツを楽しみたい、釣りがしたい、クルージングを楽しみたいと思っているはずです。

そのためには日本の法律では、まず船舶免許を取得する必要があります。

逆に言うと高額な料金を払って船舶免許を取ったからには誰もが船に乗る目的があるからでしょう。

 

免許をとったら次はドライブです。

初めてドライブする船です。なかなか思うようにはいきません。

誰かに教えてもらうことも必要になりますよね。

しかし、誰から学びますか? おそらく船の先輩、知人などから教わると思います。

多分、ほとんどの人は理屈ではなく経験で学べと言うと思います。

もしかしたら本気で真剣に教えてくれる人もいるかもしれません。

しかしその方々は何か根拠があった上でその技術を教えているのでしょうか?

 

実は一番大事なのは経験でも勘でもなく理論、根拠なのです。

理論、根拠があってこその経験と実践なのです。

実践で学んだ人は笑うかもしれません。しかし彼らは大事な事に気付いていないのです。

 

海ではやることに全て理由があります。

安全で確実で無駄の無い事が全て前提です。 意味のない事はしないのです。

むしろ、余計な事をすると緊急の時に事故になったり危険の原因になるのです。

しない事にも合理的な理由があるのです。

例えばドックラインのクリートを何重にも巻いてみたり、こんな意味のない事は必要ないのです。

本当に正しいクリート結びは1回で十分なのです。そのようになっているのです。

 

つまり経験や体で覚えたスキルもきちんと根拠に基づいていないと間違った情報や知識になるのです。

いろいろな危険を超えて、荒波を超えて、危険で無謀な航海をしたとしても最終的にラッキーで目的地に到着出来たら、その体験は成功の体験になってしまいます。

偶然に成功した事が自分の実力の成果だと思う船長には、海の神様の助けがないと次の成功は無いのです。

 

海に出るという事は、万全な事前の航海計画と準備、知識と技術、理論と根拠、覚悟と自覚、恐れと勇気、これらが無しでは本当の安全な航海はあり得ないということです。

理論を知らずに経験だけで鍛えてきた人は、何が成功で何が失敗なのかそして、経験だけで鍛えて来た人は何故成功したのか、何故失敗したのか 理論的な分析が出来ません。

むしろ、危険な航海をした事が彼らの自慢や自信になっているならば これほどの悪い話はありません。

 

しかし、本当に優秀な船乗りは危険な体験もしないし荒波には海に出ないので

そんな話はそもそも出ないということです。

偶然に出来た事も、成功なのか失敗なのか判断できない人は それが悪い自身になり、プライドになるのです。

 

だから海のトラブルや事故は起こると思うのです。

気づかない人は間違った成功体験をまた繰り返します。

海の世界では同じ状況で同じ事は二度と起こりません。

 

ちょっと熱くなってしまって不適切な表現もありますが

これは正直な私の思いで、全ては「海の楽しさも知ってほしいけど、海の怖さもわかってほしい」という思いからです。

海が怖いのは決して恥ずかしい事ではありません。

実は私も海が怖いです。だから学んで安全に乗るために努力するのです。

かえって海の怖さを甘く見ている人の方が危ないのです。

例え、魚の様に泳ぎが堪能でも、荒れた海で衣類を着た状態では

それは何の意味も持ちません。簡単に溺れ死んでしまいます。

いくら海況に詳しくても水の力には何の関係もありません。

海は人間を簡単に飲み込みます。一瞬で消し去る力があります。

どんなベテランでも強い人間でも海にも自然にも勝てないのです。

どうか無茶をする事が勇敢な人間だとは思わない様にしてください。

海に逆らうのではなく、海と自然と一体になる事。これが大事です。

 

ISPAは上手にドライブする技術だけを教えるスクールではありません。

シーマンシップ、海やドックのマナー、スキッパーとしての自覚などの精神面の部分から、安全で楽しいクルーズをするための理論、根拠と技術、海の上の生活スタイルなどを提供します。

 

ISPAは速く走るための操船は教えていません。

速く走るためにはその代償として必ず危険やリスクが伴うのです。

海の世界を楽しく快適に、そして安全に楽しむための全てのものを提供します。

そして皆さんが周りの船乗りや後輩たちにも憧れられる恰好いいセーラー(船乗り)になれるようお手伝いしたいと思います。

 

ISPAは世界的な理論、理屈、技術を統一したインターナショナルセーリング団体です。

安全で快適なマリンライフをお考えの方はぜひ正しい方法でのトレーニングをお勧めします。

プロフェッショナルのシーマンになるために、一緒に学びましょう。